実話と警鐘:5年後の2030年を展望して
著 : ihsoy
2025年 某日
実話と警鐘:5年後の2030年を展望して
著 : ihsoy
2025年 某日
これは脚色のない「実話」であり,公にすることで「警鐘」に代えたい。
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SDGsに「10. 人や国の不平等をなくそう」という目標がある。これには国家間――例えば発展途上国と先進国――の格差是正や,人種や性別といった属性での人と人の間の差別といったものが話題に上がることが多いように感じている。だがこれの本質は『差別』や『格差』を含む『不平等』そのものをなくすことではないだろうか。
さて,悲しいことに世の中には様々な差別が存在し,この私も多数の差別に遭っている当事者である。
守秘義務や法律の関係上,具体的な相手の名前を出すことはできない。しかし社会の側は,私が実名でこれを執筆し公表しようものなら,後述するように,社会はこれを武器に私を社会的に殺すだろう。故に私は苦肉の策として『分かる形での仮名』にて世に出すことにした。
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私は25歳の日本人男性である。
学童期にイジメに遭い,不登校を経験した。不本意ながら通信制高校に進学したが,そこで代え難い経験を得て,教育大学に進学することができた。大学は決して有名な大学ではないものの,地方においては一定の知名度と歴史を持つ大学である。前述の通り,私は周囲と比べて基礎学力が低いので大学での講義は大変なものであったが,それでもGPA3.0以上と,なんとか良い成績を収めることもでき,小中高の一種教員免許等も取ることができた。
だが,私は大学合格が決まった後,高校の終わりに重いうつ病を患ってしまっていた。理由は過去の不登校になるまでのストレス,家族関係でのストレスや無理解,大学進学に向けての人並み以上の努力をしたからであった。そのため私は大学の最初の1年を休学するよう主治医から勧められ,入学と同時に休学した。
私の病状は快復どころか家族の無理解によって悪化したが時間は待ってくれない。1年後,私は無理やり復学した。幸いにも大学は私の事情に理解があり,また先生方も私の疑問や質問に丁寧に応えてくれた。おかげで先に述べたように,学業に専念し学問を修め,良好な成績と広く免許状を取ることができた。
苦労の多い道だったが,成績や資格といった目に見える形で努力を結晶化することができた。「これでようやく努力が実を結ぶ」と,そう思った。
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だが,社会にあったものは『差別』と『搾取』のみだった。
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私は通信制高校の教員に狙いを定めて就職活動を行った。しかしそこで言われたことは,「通信制高校出身ってことは学力低いでしょ?」「うつ病なのは迷惑だ」などといった言葉だった。なかには,私が他の通信制高校の出身だからという理由で嫌味や暴言を吐かれたこともあった。
直接的な暴言や差別は少なくなく,あからさまに面接内容や書類内容,その時点での病状等を勘案せずに,うつ病というだけの理由で不採用にする学校も多かった。なかには事前にこのことを確認した上で不利がないことや条件上問題がないことを確認した学校でさえ,手のひらを返してきた。母校でさえも例外ではなかった。
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4年次の8月いっぱいまで通信制高校への就職活動を続けたが不採用続きだったため障害者雇用枠での一般企業での就職活動に切り替えた。
なんとか11月に某大手企業の内定が決まった。ホワイト500にも入っている企業に障害者雇用枠入社できた事実は,正直とても安心した。
もっとも,それも幻想だった。
4月,いざ入社したものの,環境の変化やストレスで早々に調子を崩してしまい,上司に相談をした。上司は「うつ病で障害者なのは知っているが,合理的配慮は一切受け付けられない」と放言した。
入社前,私は面接官らと合理的配慮についてはうつ病という病気の性質上,その時の病状や環境等に応じて適宜上司と相談して決めていくことを確認していた。しかし上司はそのことを一切聞いていないと言い,「入社後しばらくの試用期間は〈病気や障害も含めて業務に耐えうるか試すための期間〉だから合理的配慮は受け付けられないし,そもそも合理的配慮が必要と聞いていない」「また,不調ということなら君は業務に耐えられないものと判断したので解雇することにする。解雇が嫌ならば自主退職せよ」と告げてきた。これが入社後1ヵ月の間に起こったことである。何が何だか意味が分からず,先の宣告の1週間後には解雇か退職か決めろと急かされ,誰かに頼る間もなかった。
結局私は同期社員への口止め料として少しばかりの金を握らされて退職した。
おそらくは『障害者雇用』のために採って「耐えれば使い,耐えられなければ“辞めさせる”」ということだったのだろう。
その後も再就職として教員免許を活かし自治体に講師登録をした。その際,訊ねられたのでうつ病だと答えるとガチャ切りされたこともある。
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官も民も,社会はこの有り様だ。一体いつ,世界から,日本から『不平等』が無くなるのだろうか。
本作は野毛坂グローカル主催 第6回SDGs「誰一人取り残さない」コンテストに応募・投稿した作品です